日本の創造性を高め、文化芸術を発展させる場 「Culture Vision Tokyo」

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UPDATE : 2016.10.31

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「Culture Vision Tokyo」【作品紹介】

「Culture Vision Tokyo」が掲げたキーワードは「東京 cultural remix」。

トランスヒストリカル、トランスメデイア、グローバルネットワークの中にありながら強烈な個性をもち、たえざる交換と更新を繰り返している東京のメタボリズムとリミックスの力です。アジア的でアニミステック、猥雑なカオスに浴しながら、洗練の極みでこれらに形をあたえていく、世界で唯一の都市——東京。歴史と未来をメデイア、情報、身体、モノを有機的につなげていく知性と感性をもって、歴史と現在、未来を自在に横断する東京の創造力。

この日の夜、まさに東京の文化の「今」が具体化され、未来を担うたくさんの人が楽しみ、つながることで、来るべき2020年以降の「日本文化の再編集」を予感させる一夜となりました。

 


 

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ニューメディアによってつくられるパブリックのための新たなコミュニケーション空間-
アートとエンターテイメントの境界超える

teamLab「Black Waves」

最新テクノロジーを使った芸術表現に挑戦している集団「TeamLab」。映像作品「Black Waves」は、ほの暗い空間に浮かび上がる美しい波の映像が、観る者の五感に働きかける印象的な内容です。コンピュータ上で三次元の水の動きをシミュレーションしリアルな波を構築、水の粒子の挙動で三次元上の波の表層に線を描いています。これは、近現代の日本絵画における水の表現に多く用いられてきた「線の集合」をモチーフに、当時の人々の実際の世界の見え方を表現したもの。水を無数の粒子の連続体で表現し、粒子間の相互作用を計算して、自然な波の動きやリズム、水しぶきを形成しました。仮想の三次元空間に立体的に描かれた線の集合を、TeamLabが考える“超主観空間”によって表面化しています。

 


 

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ニューマテリアリズム(新物質主義)-
新たな知覚とメディアリティ、身体性のありかをさぐる

名和晃平「PixCell-Armor」

PixCellとは、 Pixcell(=画素)とCell(=細胞・器)を組み合わせた名和晃平さんが生み出した造語。対象となる物体を透明のガラスビーズで覆うことで物体そのものを光の殻に置き換え、“映像の細胞”という新たなヴィジョンを提示する作品シリーズです。今回モチーフにしたのは、戦国時代の武将・朝倉義景の甲冑。物体そのものの時代背景を超え、まったく新しい存在として私たちの前に表れた甲冑は、過去・現在・未来を軽やかにつないでいくシンボルのようでもあります。

 


 

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はかなさとバロック-
生と死をセレブレイトする空間、一時の中に永遠をみる

蜷川実花「桜(SAKURA)」

「Culture Vision Tokyo」では、パフォーマンス「TOKYO道中」の演出も手がけた蜷川実花さん。こちらのインスタレーションでは、東日本大震災が起こった2011年に撮られた桜の写真を部屋中に散りばめました。当時、蜷川さんはまるで何かに取り憑かれたように1週間で2500枚もの桜の写真を撮影したそうです。誰もが被災地のことを思い、焦燥感にかられていた2011年、自己を再認識するために撮ったという桜の写真は、しばしば日本人のアイデンティティに例えられる桜の花の存在を、表面的なものではなく、永久の心のよりどころとして再認識させてくれます。

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