「時を超える:美の基準」展開催レポート

芸術は時を超えて継承される

最終日の9月3日には、京都を中心に現代アートや伝統芸能、経済界など各界からゲストが集まりクロージングレセプションが開催され、京都の老舗料亭・山ばな平八茶屋のお食事、京都の造り酒屋・佐々木酒造の日本酒、京都BAL店で現代アートの展示も行うスターバックスコーヒージャパンのアイスコーヒーが供されました。

京都市市長の門川大作氏は「この展覧会のテーマは『歴史との対話』と聞きました。徳川幕府の260年間はほとんど争い事のない平和な時代が続き、その後、日本が近代国家へと移行した明治維新においても大きな内戦は避けられました。二条城は『城』の文字がつきますが、実際には平和の象徴、文化芸術の象徴の場でもあるのです」と述べ、京都で芸術が育まれる歴史的な必然性を指摘しました。

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京都市・門川大作市長

続いて、文部科学副大臣・東京オリンピック・パラリンピック、ラグビーW杯を担当する浮島とも子氏は「本日この場所にやって来て、二条城自体が『時を超える・美の基準』を体現しているのだと感じました。この展覧会は、日本初開催となるICOM大会に合わせて企画されたものです。約11年前、私は参議院議員の際に『ICOMをぜひ日本で開催するべきだ』と国会で訴えました。そこから長い時間をかけて多くのみなさんのお力で実現したことは感無量です。さきほどお話された門川市長、カルチャー・ヴィジョン・ジャパン代表理事の井上(智治)さんたち、開催に関わるみなさんが笑顔で目をキラキラと輝かせながら展覧会について語っているのを拝見して、文化芸術には国境がない、世界平和をつくっていくことができるのだと感じました。この展覧会以外にも、ICOM開催時期には京都各所で関連した展示、企画が多く行われています。ぜひみなさんも足を運んでいただきたいと思います。そして海外や京都の人々との友好の輪を広げていただければ」とまとめました。

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文部科学副大臣(当時)・浮島とも子氏

そして京都市議会議員京都市会議長の山本恵一氏は、「現在の京都市では、2020年度の年の本格的な文化庁の京都移転に向けて、文化を基軸とした街づくりが進んでいます。そのためには古き良き文化芸術を継承し、同時にみずみずしい感性と意欲にあふれた若手芸術家、そして多くのみなさんの力を結集して、さらに発展を目指していく必要があります。京都の誇りある文化の力を最大限に活かしながら、この魅力ある街を次の世代に手渡していきましょう」と述べました。

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レセプションでは未生流笹岡家元・笹岡隆甫によるいけばなのパフォーマンスも行われた

これらの祝辞の後、京都で花開いた未生流笹岡の家元である笹岡隆甫氏が、生け花をその場で生けるセレブレーションパフォーマンスを披露し、展覧会とICOMの成功に美しく華やかな花を添えました。レセプションで多くの人々がコメントしたように、京都には文化の開花を促してきた長い歴史と人的な豊かさがあります。そこにさらに現代的な新しい花や木々が芽吹く可能性を示したのが、この「時を超える〜」展であるとも言えるでしょう。このようにして、文化と芸術は未来へと手渡されていくのです。

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クロージングレセプションの様子

Text by Taisuke Shimanuki
All photos: Kim SongGi